時代の移り変わりとともに発展する訪問美容の世界


かつて、訪問美容というビジネスは美容師法における「例外」という扱いでした。
例外でおこなうことのできる「特別な場合」とは、①病気で美容室に来ることができない人への施術②婚礼その他の儀式に参列した人に対して儀式の直前におこなう③都道府県などが条例で定める場合——に限られ、違反には業務停止や、免許取消処分の対象になったのです。

当時は小さい事業者が経営困難になっていた時代で、過当競争からの脱却が叫ばれた時代でもあり、業界統制が求められた時代でもあったのです。

時代の流れと訪問美容の変遷

それから約70年。訪問美容への期待と機運は盛り上がっています。上記の「特別な場合」にあてはまる社会福祉施設や病気の人の自宅訪問の需要が著しく増えているのです。

全国にある美容室は24万3360店(2017年3月末)。このうち、兼業で訪問美容をおこなっているのは約300店、美容室を持たずに訪問専業、あるいは介護事業のサービスの一環としておこなわれている事業所は約300ある、とホットペッパービューティーアカデミーが調査結果を明らかにしています。

この中には、全国に「髪人」(かみびと)を展開している日本介護システム、「リンデンB・I」を展開しているリンデン・ビーアイのようにフランチャイズしている企業もあります。

こうして日本各地に訪問美容というビジネスおよび福祉サービスが広く浸透するようになり、今では街中の美容室もサービスの一貫として訪問美容の施術を行うことも珍しくなくなったのです。